みあげればソラ
「男も知らないくせに、男に溺れようなんて百年早いわよ。
そんなの溺れ死ぬにきまってるじゃない」
ジョーは止めときなさい、と彼の声は優しくそう言った。
「あの子はあの子で苦しんでるんだから。
あたしで良ければ、初めてのお相手くらいは引き受けてあげてもいいわよ」
「えっ?」
「あら、あたしはどっちでもいける口。
あなた可愛いし、大丈夫いけるわ」
なんならこれからする?と耳元で囁かれて由貴は身体を固くした。
「わ、わたし可愛くなんてないです。
地味だし、センスないし、お肌ガサガサだし……」
「ま、確かにあか抜けないわね。
でも、磨けば光りそう……
そうだ、ちょっと待ってて」
由貴の緊張と比例するように、勝は楽しそうに笑うと席を立った。