みあげればソラ
「由貴、なんでお前がここにいるんだよ!」
店長のマサルに「変な客がいる」と耳打ちされて様子を見に来てみると、なんとそこに由貴がいた。
「なんだ、ジョーの知り合い?」
「ジョー?」
俺の源氏名を不思議そうに繰り返す由貴をみて苛立った。
こんな薄っぺらな俺の姿を見られたくはなかった。
だから、捲し立てるように彼女を問い詰めた。
「この時間は勉強してるハズじゃねぇのか? ミアはお前がここに居ること知ってるのか? まさか、黙って来たわけじゃねぇだろうな!」
「だ、だって……」
「だって何だ?」
「だ、だって、わ、わたしだって……」
「ここはな、金もった女が男遊びをしにくる場所なんだよっ!
お前が来るようなところじゃない!!」
勢い押されて口黙った由貴の頬を、涙が伝って落ちた。