桜の下で ~幕末純愛~ 番外集
「ちょ、総司!」



もうさ、いんでない?お茶屋さんは…

はぁぁぁ、と深い溜め息を吐く。



「総司、居たのか?」




足音は原田のものであった。



「左之さん。うん、そうなんだけど…察知能力高すぎたみたいです」

「全く、仕方ねえなぁ」



原田がわしわしと頭を掻く。



「左之さん、総司っていつも稽古サボるんですか?」

「まあな、以前よりはマシかもしれねぇがな」

「え?」



あれでマシ?!

驚いた表情の桜夜を見て、原田は苦笑いをする。



「驚くだろ。それでいて腕が立つから質が悪いんだよな」



桜夜と原田は同時に「はぁ~」と溜め息を零した。



「ま、あいつの事だ、桜夜ちゃんとこにまた現れるだろ。そんときゃ頼んだぜ」



軽く手を上げて原田は去っていった。

原田の消えた方を見て、桜夜は一層深い溜め息を吐いた。
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