桜の下で ～幕末純愛～ 番外集

見るからに怒り心頭の土方と笑い続ける沖田と桜夜。



「くそっ！」



土方は焦りと恥を隠すべく先ずは落ち着こうと、目の前にあるカップに手を伸ばし、勢いよくコーヒーを口にする。



「ぶはっっっ！な、なんっ！」



飲んだ事のないブラックコーヒーを一気に飲んだ土方はその苦味にコーヒーを吹き出した。



「ちょ、吹き出す？！うそっ！」

「あっはははははは！」



慌てて布巾で拭き出す桜夜と大笑いを始める沖田。

土方はよろけてテーブルに手を掛ける。

その時、テーブルに置いてあったエアコンのリモコンに手を乗せてしまった。

ピピッ

運転ボタンが押され、微かな音と共に風が土方の髪を揺らす。



「なっ、風が！？」



窓は閉まっており、風が吹く筈もないのに髪を揺らす正体を探そうと土方はキョロキョロと辺りを見回す。