ハッピーバースデイ
もうすぐ銀司の誕生日だ。
ふと授業中に、黒板の隅に書かれている日付を見て思う。
家が隣にある銀司の誕生日は、17年間ずっと一緒に行われてきていた。
今年は何のケーキを焼こうかと思案して、ペンを回す。
ちーちゃんに聞きに行こう。
「じゃあ西村、お前誕生日の日付は?」
古典の先生が言う。私はそちらを向いた。
あ。
クラスメートがわくわくしているのが分かる。
西村銀司は誕生日を公にしていない。
プレゼントを貰ったり、祝われたりするのが面倒だと言っていた。