どろぽう
1.日常
カチッカチッ、ジィーーーー、ザーザー…

枕元の時計が
等間隔で音を出し、
冷蔵庫の機械音が不定期に鳴り、
急に降り出した雨音が
暗い部屋の中に虚しく響く。

その音を聞きながらベッドの上で目を開き、
呼吸を刻む女が一人。


『…ダル。』


女は一言そう呟いて
目を閉じた。
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