早瀬くん、好き。





「…お兄ちゃんのこと憎くないの?」


やっと泣き止んだ私が発した第一声。


私だったらお兄ちゃんが憎くてたまらないはず。



「…俺、正直しょうがねぇって思ってんだよ。

俺、昔っから兄貴には勉強も運動も

勝てなくてさ。

兄貴は俺と違って愛想もいいし。

まぁ、しょうがねぇかなって」




早瀬くん…。

本当にしょうがねぇだなんて思ってたら

そんな傷ついた顔しないよ。

本当はまだ彩芽ちゃんのこと好きなんでしょ?





「…しょうがねぇで終わらせちゃ

いけないことだってあると思う!!

早瀬くんにだっていいとこあること私知ってるよ?」



それに…それに



「彩芽ちゃんはまだ早瀬くんが好きなんだから!!」



あーあ…。


言っちゃった。


私…今回ばかりは早瀬くんのこと諦めなきゃな…。
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