早瀬くん、好き。




「早瀬…。

俺の負けだよ。
約束通り心春にはもう近づかねぇ」




傷だらけの正樹が早瀬くんに向かってそう言う。




正樹……。

近づかないなんて。

せめて友達として接していくのは無理なのかな…?

大切な友達だからちょっと寂しいな。



でも、そんなこと言ったら今回の喧嘩も正樹の怪我も早瀬くんが私のためにしてくれたことも無駄になっちゃうよね。





「…お前、鮎原と同じクラスだろ?」



早瀬くん?



「あ、あぁ。そうだけど…」




「こいつドジだしおちょっこちょいだし
おまけにバカだしさ、友達として助けてやってくんね?

無駄に気ぃ強いからクラスの女からいじめらっかもしんねぇし。

俺はクラスちげぇしさ…

悪いけど頼むわ。

な?鮎原もそっちのがいいだろ?」





早瀬くん…。


バカとは何ですか!バカとは!



けど、きっと、絶対早瀬くんは私の気持ちに気付いてたからわざとそう言ってくれてるんだよね。



「う、うん。そうだね。
正樹は友達だし…」



本当、早瀬くんはお人好しで優しくて

もう好きすぎるよ。





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