[B L]だからスキって言ったのに〒続編
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「…じゃ、今回はこれで。」
天野はスーツを着て、とある料亭へ来ていた。
「竜哉、でっかくなったねー!!」
そして、食事の乗ったテーブルを挟んで座っているのは、マリノ・ルイ。
「…アナタは我が社の大切なクライアントの息子様ですから、オレの私生活にはあまり干渉して欲しくないのですが。」
「まーまー、そう堅いこと言わずにさー。」
ルイは足を投げ出し、カニを口に入れた。
天野は書類を片手に、正座をしている。
食事にはいっさい手を着けていなかった。
「…それでは、この商品をアナタの会社と我が社で共同製作する。
それでよろしいですね?」
「んー、いいけどさー。」
「なにか不満でも?
この企画は充分に話題性もあり、なにしろブランド会社トップクラスの2社が共同製作、というのは世間的にも────…」
「そ•う•じゃ•な•く•て☆
最近、この子と仲良いんだって?」
そういって机に出されたのは、隠し撮りされたであろう天野と夏音が一緒に帰っている写真だった。
「…ッ、アナタの私情であなた方の裏企業を使ってもよろしいのですか?」
ルイは表向き、有名なブランド会社だ。
しかしその裏では、情報屋や殺し屋などの、“裏企業”をまとめる総取締役。
天野と同じ年にして、裏企業を操っている。
「いーのいーの!
…んで、小林夏音チャン。
かわいーよねー♪
弓道も巧いみたいだし?
ねぇ、知ってたっけ?
今“ウチ”が人手不足なの。」
ウチ、とは殺し屋のことだろう。
弓道は、充分殺傷能力がある。
「言ってる意味、分かるよね?」
「…サッパリ解りません。」
「ハハッ、じゃあおバカなおバカな竜哉ちゃんに教えてあげよっか♪
…彼を“ウラ”に引き込むっつってんだよ。」
ドスの利いた声で、ルイは言った。
その声に、僅かに天野がたじろく。
「それが嫌ならサッサと別れることだねー♪」
天野は唇をかんだ。
「あ、もしかしてもう別れちゃった?」
その言葉に、天野の目が揺らぐ。
人の顔の変化を見逃さないルイは、それにすぐ気づいた。
「なぁーんだ、じゃあ話は早い。
…それじゃ、竜哉。
僕のモノになってよ。」
天野の耳元で囁くルイ。
だが天野は、屈しなかった。
「仕事は仕事ですので。
…それでは行きましょうか。」
天野たちは料亭を出た。
そして偶然にも、夏音に会ってしまったのである。
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「あれが夏音チャンねぇ~♪
なかなかいい反応だったし?」
「彼は関係ありません。
今後一切近づかないでいただきたい。」
「ハイハイ、分かりましたよ~」
そんな会話をしつつ、天野とルイは車に乗った。