死の百物語と神は云う。
 その緑色の瞳を持つ女性はとても頭がよくて、性格も優しくて温厚といって完璧を兼ね備えており、オマケにトドメだと言わせないばかりにとびっきりの美人さん。

 そして、お金持ちのもとで生まれて育った彼女はいわゆるお嬢様で、当然の如く、たくさんの異性からはモテており、何不自由のない優雅な毎日を送っていた。

 そんな彼女には、恋人がいた。

 その恋人は彼女と同じく頭も性格も容姿もいい完璧な人で、愛し愛され、誰から見てもお似合いなカップルだったわ。

 しかし……とある日のこと。彼女は、恋人が自分じゃない女性と楽しそうに笑っている場面を見てしまったの。そう、それは紛れもない浮気。

 ふつふつと途切れることなく湧き出る感情……それは、“嫉妬”。

 彼女は浮気相手の女性がひとりになったところを狙い、持っていたナイフで刺し殺した後、――恋人も刺し殺してしまったの。


「浮気について謝る……!だから、頼むからっ、許し……げふっ」

「なにもかも完璧な私以外の女に靡いたこと、決して許さない。死して償うがいいわ……っ!」


 彼女の瞳は爛々と輝く緑色……。

 そんな事件が起きてからというもの、緑色の瞳は“嫉妬”を象徴していると西洋では言われるようになったのよ。
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