死の百物語と神は云う。
●プロローグ
「――全員、そろいましたか?」


 僕、高山悠夜(たかやまゆうや)は、みんなの表情を伺うようにぐるりと見渡した。

 みんな、真ん中に集められた100本の蝋燭を囲むようにして座っており、真剣な面持ちをして僕を見る。


「ああ。全員のはずだぜ?」


 竜司はちらりと辺りを見渡し、そう言った。

 全員……とは、すなわち、11人だ。

 僕、久遠、健吾、幸恵さん、亜希ちゃん、竜司、美里さん、一樹さん、昶さん、藍ヶ嶺くん、そして……智哉兄さん。

 みんな、百物語をするために集まってくれた人達。

 百物語をしようと提案したのは昶さんなのだけれど、案外みんなすんなりと受け入れ、その日のうちにしようってことになった。


「それじゃあ、早速始めましょうか。11人で」


 僕が言うと、昶さんが「んっ?」と顔を曇らせる。


「あれ?――全員で10人のはずだけれど?」


 ……え?

 刹那、みんながみんな、お互いの顔を見合わせた。
< 2 / 30 >

この作品をシェア

pagetop