死の百物語と神は云う。
「え。ちょっ、なに?この子?今日、アレの日?」


 宇江原くんは口元をヒクヒクと引き攣らせながら、私以外のみんなに助けを求めだす。

 しかし、宇江原くんのその発言を聞いた竜司お兄様は、ぴくりと眉を動かした。


「テメェ……」

「なっ、なんでそんなにどす黒いオーラが出て……いるんっすか……ね……?」

「これ以上、妹を侮辱したら許さねェ!!!」

「ぎゃぁぁぁあああっ?!」


 竜司の会心の拳に、宇江原くんはその場で気を失った。

 ……お兄様、それは少しやり過ぎな気もするんですけれど……。


「一樹は、美里が年下に“ちゃん”をつけて呼ばれたら関西弁になって怒ること、知らなかったんだね!★」

「そういえば教えていなかったような……」

「ってか、兄が竜司っていうことを知らずに、竜司の目の前で美里を口説くなんて、勇気があるを通り越して哀れだよね~★」


 久遠さんと悠夜さんが口々に言う中、お兄様は未だに怒りが収まらないようでカリカリとしていた。


「オッホン!とにかく、私が用意した怖いお話をお聞かせしたいと思います……!」


 このままだとお話が進まないので、私は強引にお話を進めだした。
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