死の百物語と神は云う。

○9:入れ代わる

【須皇昶】


「……それ、ただの自業自得じゃねーの?バカだな、お前。ヴァーカ!」


 宇江原くんの話が終わった刹那、桜井くんは宇江原くんのことをジトーっと見ながらそう言った。


「は?違うから。全然自業自得じゃねぇから。俺は被害者だから。あとバカでもないから」

「被害者ヅラしてるヤツ、マジでウザすぎ。そんなチャラチャラしているテメェが頭いいとか信じられねぇんだけど。1+1、分かる?あっ、自分の名前、言えまちゅかー?」

「一樹だ、バカにすんな!ってか、あんたも大概だろ。幼児言葉を使うとか、あんたの方が頭悪いんじゃねーの?」


 ……あはは。またもやケンカが始まりそうな予感だなぁ……。

 次は僕が話す番なんだけど……ちょっと待った方がいいのかな?

 それにしても――彼は、宇江原一樹くんは、一体だれなんだろう?

 もちろん、僕は今回が宇江原くんと初対面だから呼んでなんかいないし、名前だって初耳だ。

 桜井くんが悠夜くんのお兄さんであることは、事前に聴いていたから分かっていたけれど……宇江原くんだけ、だれなのかが分からない。

 だれかの知り合いなんだろうか?それなら、一言だけでいいから声をかけてくれればよかったのになぁ……。


「2人とも!ケンカするなら外でやってよね!ついでに殺し合って共倒れろ!」


 久遠くん……とめるのか、とめる気がないのか分からないよ、それじゃ……。

 でも、久遠くんのその言葉が通じたのか、2人は大人しくなった。

 ウォッホン!

 それでは、そろそろ僕の話を始めるよ!
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