死の百物語と神は云う。
 しかし、精神的に参った女性は、恋人の男性にストーカーのことを打ち明けた。

 恋人は何かがあったら守ってやると元気付けてはいたが、ストーカーからの攻撃はおさまるどころか増えていった。

 ある日、お風呂に入った女性は、新しいシャンプーで頭を洗おうとしたのだが……。

 外から誰かが覗いているのを見付け、洗えずに飛び出した。

 濡れた身体にタオルを巻き、恋人に電話をして助けを求めた。

 しばらくして恋人は駆け付けてきて、一夜を共にしたらしい。

 次の日。警察に言おうと提案した女性の言葉に、恋人は躊躇った。

 ……なぜかって?やっぱり自分の手で女性を守りたかったからじゃね?詳しくは知らないけどよ。

 ……んで、支度をし終えた女性が、先に玄関に待つ恋人に駆け寄った。

 その時、恋人の男性は言った。


「お前ってさ……シャンプー、変えたんだな」


 ……。

 なんで、シャンプーを新しいものに買ったこと、その恋人は知っていたんだろうな?

 初めて女性の家にあがりこんだというのに、な。

 俺は馬鹿だから分かんね。

 でもよ、頭のいいお前らなら、この話の本当の意味が分かるんじゃねぇの?

 ふぅー!



 3本目の蝋燭の火が消えた。
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