だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版
理性...リセイ
『凄雨は冷たいし、少し大きな音がする。でも、その時に一緒にいる人のぬくもりも感じるし、この音が二人を隠してくれるんだよ』
病院に泊まると決めた日、白いベッドの上に二人で寄り添っていた。
さっきまで抱えられて座っていたけれど、今はベッドの上で二人で横になっている。
リクライニングを少し倒して、湊と向き合っていた。
病院でなんて不謹慎なことを、と想ったけれど湊に逆らえるわけもない。
湊に抱えられたまま、離れることも出来ずにいた。
「隠れる必要があるの?」
そう聞くと、湊は楽しそうに笑った。
声も出さないまま。
「だって、隠れていないとこんなこと出来ないでしょ?」
そう言って私の口を塞いでしまった。
軽く寄せられたはずだったのに、次第に強く抱きしめられて身動きも取れない。
軽く息をするだけで、その音しかこの世に存在しないかのように響く。
病院は静か過ぎる。
「――――ちょっと、まっ・・・んっ――――」
止める言葉も、湊の唇の熱に溶かされてしまう。
こんなところ、お父さんが入ってきたら相当怒られるに決まってる。
呆れるのが先かもしれないな、とぼんやり考えてもいた。
余計なことを考えているのがわかったらしく、湊は腕の力を強めた。
意識の端を見つけて、湊の腕に自分の手を重ねた。