だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版





仕事から離れて一週間が経っていた。

どんどん仕事に復帰するのが嫌になるかと思ったけれど、それとは逆に仕事がしたくてたまらなくなっていた。

休みの日に考えることはしっかり考えた。



きっと、まだ結論の出ていないことばかりだ。

それでも、頭の中を整理することは出来た気がする。



水鳥さんに聞いて欲しいことが、沢山ある。

森川に話したいことも、沢山ある。


一人で考えた結果、やっぱり誰かに話を聞いて欲しいな、と想う。



堂々巡りしていた自分の考えが少し落ち着いた時、それで大丈夫、と背中を押して欲しくなる。

それは、仕事であってもプライベートであっても同じことなのだろう。




そんなことを考えていると、ふと、今日の会社でのスケジュールを思い出した。


金曜日。

今日は、森川がプレゼンに出かけているはずだ。


うちの第一営業部(映像部門)と三ヶ月かけて練り上げた企画は、年末に街角のビジョンをジャックして一分間のミニストーリーを放送する、と言うものだった。


内容は、大手海外ブランドの新商品の香水のCM。

クリスマス商戦からあえて時期を外して、元旦の午前零時から、限られた百貨店の入り口に特設ブースを設置する。

全国各地で一斉販売するため、かなり大掛かりなプロジェクトになる。



コンセプトは『雪』。

そこで、今回うちの会社が名乗りを上げた、と言うわけだ。

本州よりも美しい雪の情景を見せてくれる。



北海道ならではの景色。




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