だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版
クライアントが全国展開しているので、名乗りを上げる企業も全国区だ。
プレゼン次第で獲得出来るかどうかが決まってくる。
今回のプレゼンは、かなり大事な局面になってくるだろう。
北海道には綺麗な雪の景色が沢山ある。
美瑛の真っ白な雪と青い池。
冬の釧路湿原。
極寒の知床。
雪の函館の夜景。
札幌の雪景色。
表情豊かな広い土地を持っている北海道は、かなり有利な条件になるかもしれない。
他の企業は、富士山や軽井沢、京都など、歴史豊かな土地の表情で対抗してくるはずだ。
あなどれないのは、広島。
厳島神社の雪景色は、一面雪ではないけれど、波の反射と赤い鳥居、そしてその上にうっすら積もる雪がとても美しい。
世界遺産であり、満潮時と夕焼けが重なったその風景は、人の心を惹きつける魅力がある。
多分、一騎打ちになるだろう、と尾上部長が言っていた。
森川がどの風景を持ってくるのか、第一がいかに良い映像を取れるのか。
企画段階からかなり綿密に練られたその企画を、今日クライアントに持っていく。
森川のプレゼン能力の高さは、定評がある。
櫻井さんに叩き込まれたノウハウを、しっかりと自分のものにしている。
もちろん、櫻井さんも同行するはずだが、今回の案件は森川にとって一つの正念場になるのだろう。