だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版
きっと、誰にもわかってもらえない。
でも、そんなことわかってる。
私達二人は、誰よりも現実に苦しんで、悩んできたのだから。
それでも離せなかった、大切な人。
一番近くで、見つめてきた人。
好きになり過ぎて怖かった。
他の人のものになんて、絶対にしたくない。
二人が同じ想いを分け合っているかのなんて、誰にもわからない。
お互いのことを理解しているなんて、きっと傲慢だ、とも想う。
それでも、『同じ気持ちでいて』と願わずにはいられなかった。
「湊が湊として生まれて。私が私として生まれてこれた。それがこんなにも幸せなことだと、教えてくれてありがとう」
涙声で上手に声が出なくても。
しがみついていて、声がこもっても。
どうしても、伝えたかった。
「湊の存在全てを、愛してる」
ただそこで、呼吸をして生きていて。
目の前の湊をカタチ造る細胞とともに。
掴むことも見ることも出来ない、貴方の心とともに。
それだけで、幸せだと想った。
「いつか身体がなくなってしまっても、きっと時雨を憶えてる」
こんなにも、同じ気持ちを分け合える人はもういない。
十九年しか生きていないけれど、わかる。
人生の生きてきた長さなんかじゃない。
私の細胞が、言ってる。
わかる、と。