だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版
冷雨
驚愕...キョウガク
クリスマス商戦真っ只中の社内は、なんだか戦場のようだった。
企画営業部は他の営業部の応援に呼ばれる。
プレゼン企画が溜まって資料作りばかりするよりは、現場で動ける方がずっと気が楽だった。
うちの会社は、来年度から東京本社の大手企業との提携が決まった。
それもこれも、今回の事業獲得率の向上があったからこそだろう。
吸収合併されてもおかしくないような会社からの、願ってもない業務提携。
うちの会社のスタンスはそのまま、名前のバックアップが付くだけなんて。
本当に凄いことだった。
大手企業との提携話は、不況の北海道にはありがたい話だった。
尾上部長率いる企画営業部は、社長賞を授与されることになっている。
企画営業部の大型展開が、提携の糸口になっていたようだ。
「尾上部長ってやっぱりすごい人だったんですね」
久しぶりに早く仕事が終わったので、水鳥さんとご飯を食べに来ていた。
てんぷらの美味しい和食屋さんは、料理の割りに値段が手ごろで二人でよく来るところだった。
熱燗を水鳥さんに差し出して、お猪口に注ぐ。
ぐいっと口をつけて、にっこりと水鳥さんが笑っている。