だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版





そんな話をしながら、すでに二合燗のお銚子は十本近く空いていた。

二人とも平日なのにお構いなしにお酒を進めていたので、とてもいい気分になっていた。


水鳥さんは、まだケロリとしているけれど。

このまま付き合ってしまえば、私はふらふらになってしまうだろう。




「水鳥さん、そろそろ帰らないと、私まずい気がします」




そう言って、少しとろんとしてきた目を水鳥さんに向けた。

そんな私を見て、楽しそうに水鳥さんは笑っていた。




「じゃあ、少しお水を飲んでいて。もう少し落ち着いたら帰りましょう」




そう言って、冷たい水を手渡された。

火照った身体に冷たい水はすぅっと染み込んでいった。




「最後にお吸い物でも飲んで帰りましょうか」




水鳥さんの提案に従って、二人でお吸い物を頂くことにした。

最後に流し込む温かいお吸い物は、今まで飲んだお酒を落ち着けてくれる効果があるのだ、と思う。

気持ちまでも穏やかになっていく。




「美味しいですね」


「そうね。やっぱり最後はお吸い物よね」




二人でゆっくりと飲み干すと、最後の乾杯をしてお猪口の中身を飲み干した。




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