だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版
さっきよりも汗をかいた紅茶を、喉に流し込む。
眠っている間は、とても喉が渇く。
流れ込む茶色の液体は、さっきよりも少しだけ優しい温度になっていた。
開けられたままになっていたお菓子に手をつけて、ふと携帯を探す。
きっと鳴ることはない、と思っていても一応確認くらいはしておかなくては。
普段からあまり携帯に執着がないので、気にしなければ存在すら忘れてしまう。
それは、忙しい仕事をしている自分にとって、実は致命的なことなのだ。
今は落ち着いている、という水鳥さんの言葉も、櫻井さんの報告も聞いている。
それでも、何かトラブルがあれば予想外のことも起こるだろう。
何もないことが、一番いいのだけれど。
とりあえず、鞄の中から携帯を取り出す。
ディスプレイがチカチカと光っている。
中を確認しようと、携帯を開いてみた。
メールが三件。
着信が一件。
これくらいはいつものことなので、まずはメールから確認することにした。
ちょっと面倒に思いながら、内容を確認していく。