だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版





さっきよりも汗をかいた紅茶を、喉に流し込む。

眠っている間は、とても喉が渇く。

流れ込む茶色の液体は、さっきよりも少しだけ優しい温度になっていた。




開けられたままになっていたお菓子に手をつけて、ふと携帯を探す。

きっと鳴ることはない、と思っていても一応確認くらいはしておかなくては。


普段からあまり携帯に執着がないので、気にしなければ存在すら忘れてしまう。

それは、忙しい仕事をしている自分にとって、実は致命的なことなのだ。




今は落ち着いている、という水鳥さんの言葉も、櫻井さんの報告も聞いている。

それでも、何かトラブルがあれば予想外のことも起こるだろう。



何もないことが、一番いいのだけれど。




とりあえず、鞄の中から携帯を取り出す。

ディスプレイがチカチカと光っている。

中を確認しようと、携帯を開いてみた。




メールが三件。

着信が一件。




これくらいはいつものことなので、まずはメールから確認することにした。

ちょっと面倒に思いながら、内容を確認していく。




< 24 / 276 >

この作品をシェア

pagetop