だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版
当然のことを言われたまでだ。
こんなこと、覚悟の上でここにいる。
「兄妹以外の何者にもなれないのに。誰も認めてくれないのよ」
兄妹以外の何者にもなれない。
血は繋がってなくても。
目の前の現実を、今はもう受け入れている。
けれど、その現実を覆すことは、今の私には出来なかった。
「二人には幸せになって欲しいの、誰よりも。だから認めないわ、絶対に」
絶対に。
ママの口調はきっぱりとしたものだった。
なんの意見も許さない、と。
でも、違うんだよ。
誰よりも私たちの幸せを願ってくれるなら。
それがママの願いなら。
私たちは一緒にいないと意味がないの。
もう、離れてなんていられないんだよ。
下を向いたら、相手の意見を飲み込むことだ、とわかっていた。
だから、私はママの顔を見続けた。
目線がこちらを向くことがなくても。
必死に私たちの幸せを願ってくれていることくらい、ママの声と表情で簡単にわかってしまった。
願いは同じなのに。
幸せに、なりたいだけなのに。
それでも、交わらない想い。