だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版
「これから、大変になるわよ。わかってるのね」
「あぁ。戸籍のことも、考えてる」
「あんたのことだから、上手くやるつもりでしょ。その辺は好きにしなさい。潤さんさえ納得したら、私は応援するわ」
ママが、応援してくれる?
そう、聴こえた。
「ママ、私いいの?湊と一緒にいてもいい?」
搾り出した声は、掠れるように震えていた。
なんだか信じられなくて。
「時雨ちゃん。きっと沢山苦労をするわ。色んなことが辛くなっても、後悔しないと誓える?」
「・・・しない。・・・するわけ、ないよ」
するわけ、ないよ。
だって、ここに湊がいるんだもの。
「それならママは反対しないよ。二人が幸せなら、それでいいから」
信じられない。
でも、わかってくれた。
何がなんだかわからないけれど。
でも、わかってくれた。
気が付くと私は、湊の手を離していた。
何も掴んでいない右手は、柔らかい人を抱きしめた。
ママに抱きついてぼろぼろ溢れる涙を、ママの膝に沢山落としてしまった。
優しい手が、背中をさする。
涙が増えるばかりだよ。