だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版
「潤さんは簡単にはわかってくれないと思うわ。これから、頑張るのよ」
ただ頷くことしか出来ない。
お父さんの説得は、大変かもしれない。
でも、頑張れるよ。
ママのこの優しい手があるから。
湊の、あの冷たい手があるから。
そっと、ママの隣に誰かが座る気配がした。
感じなれた気配。
私の気持ちを、揺さぶる気配。
「母さん、交代。じゃなきゃ、泣き止まないから」
「もう、ずるいわね」
そう言いながら、ママが少し私から離れる。
床に座り込んでいた私を軽く持ち上げて、湊の膝に寝かせてくれる。
優しく撫でてくれる手が。
掴む脚の感覚が。
触れる肌の感触が。
もう大丈夫と言っている。
此処にいるよ、と言っている。
少し経つとすっかり落ち着いて、私は湊の膝の上で寝てしまっていた。
すっかりリラックスして。
その夜。
お父さんにも話をした。
お父さんは、簡単には許してくれなかった。
予想していたことだった。
お父さんは簡単に許してくれる訳がない、ってどこかでわかっていたから。
でも、大丈夫。
だって、私の幸せを一番に考えてくれる人だから。
大切な『お父さん』だから、絶対にわかってくれる、って信じてる。