だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版





何日も根気強く話をしたけれど、聞く耳すら持ってくれなかった。

時には、何日も家に帰ってこないこともあった。

仕事を理由に家に帰って来ないなんて初めてで、不安になることも沢山あったけれど。

湊がずっと傍にいてくれたから、ずっと待つことが出来たのだと想う。



そしてその間も、湊はお父さんに逢いに行ってくれていたらしい。

ママも一緒に。




『潤さん、きっと寂しいのよ。時雨ちゃんを獲られるのが』




ママは、ずっとそんな風に言っていたっけ。


根気強い説得の結果、私が幸せなら、となんとか認めてくれた。

説得に二ヶ月近くかかるとは思わなかった。

お父さんの頑固さが変わっていないことを、目の当たりにした日々だった。




認めてくれた日の夜。

久しぶりに四人でご飯を食べた。


みんな、幸せそうに笑っていた。




お父さんは『時雨も大人になったなぁ・・・』なんてしみじみしていて。

ママは『本当に大事にするのよ!』と何度も湊に詰め寄って。


私達二人は、ずっと笑っていた。

これから先、二人で笑い合って見つめ合うことを全て許された気がして。

家族としてだけでなく、もっと特別な存在として大切にすることが出来るような気がしていた。




< 250 / 276 >

この作品をシェア

pagetop