だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版
「今日は一緒に寝ようか」
湊は嬉しそうに私の頭にキスをした。
そして、そっと頬擦りをして私を抱き締めた。
私は、その頬擦りする顔に出来るだけ頭を寄せて応えていた。
窓を閉めて二人でベッドに入る。
今日くらい、一緒に寝ることをお父さんもママも見逃してくれるだろう。
この約二ヶ月、二人に認めてもらうまでは一緒に寝ない、と決めていた。
壁一枚を挟んで隣の部屋にいるのに、湊の腕の中にいられない。
そのことが、とても苦しかった。
時折響く壁を叩く音に、湊が気にかけてくれているのがわかった。
それだけで涙が出そうだった。
湊がそこにいると想うだけで、眠りにつくことが出来た。
目の前にある湊の長い睫毛が揺れる。
眠気が襲ってきて目を開けるのも辛いけれど、まだ間近にある湊の顔を見ていたかった。
何かを口にすることがなくても、目が合う度にどちらからともなくキスをした。
触れる温度も柔らかさも。
もう我慢しなくていいんだ、と想う。
湊の鎖骨の辺りに額を寄せる。
湊の背中に回した私の腕に力が入らなくなると同時に、湊が強く私を抱き寄せた。
自分の耳のすぐ傍で湊の呼吸を感じていた。
こんな日は傍にいて。
そう願った。
そう想うと同時に、私は眠りについた。