だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版
私を掴んでいる手から、力が抜けていく。
それを感じて、少しだけほっとする。
ただ、今すぐに気を抜いては色んなことが圭都さんに伝わってしまう。
もう少し。
仮面をつけたままでいさせて。
「・・・っっ!!!」
目の前に圭都さんの顔がある。
力を抜いたはずの手は、信じられない力で私を押さえ付けている。
有無を言わせぬ力で。
抵抗など、出来ない力で。
押し付けられた唇は、今までにないほど熱っぽい。
私の本心を探るように、その唇が重ねられる。
逃げ場なくドアの方へ追い込まれる。
圭都さんの手は、そのまま乱暴に私の服を暴いていった。
今まで力づくで何かをするような人ではなかったので、怖くなって身体を動かした。
圭都さんの力に敵うわけがなく、どんどん服を剥がれていく。
口を塞がれたまま、圭都さんの冷たい手が肌に触れる。
押し付けられている唇の隙間から、息が漏れる。
冷たいはずなのに、身体に熱が走る。
触れられた場所が熱い。
この人をこんな風に傷つけたのだ、と知る。
追い詰めていたのは、私だ、と。
漏れる吐息と噛み締める嗚咽が漏れる。
どうしていいか、わからないよ。