だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版
ねえ、湊。
どうして湊じゃなくちゃいけなかったんだろう。
今も、受け止められない。
今も、受け入れられない。
七年前。
湊を見送ったことでさえ、私にとっては夢の中の出来事で。
現実味なんてひとつもないよ。
どうしてかな。
私はただ湊が其処にいて、呼吸をしているだけで幸せだったのに。
私はただ、湊に触れられる距離に、ただ其処にいられるだけでよかったのに。
秋晴れの日。
静かに眠る顔を想い出す。
毎日を必死に生きる。
仕事も過去もこれからも。
大きな変化を迎える時がすぐそこまで迫っていた。
大切なものを探して、今日も『今』を生きるOLの物語、第三章。