だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版
出張...シュッチョウ
「うーーーーんっ」
ベッドの上で大きく伸びをする。
ごろごろと転がりながら、少しだけ目をつぶる。
ホテルは結局、駅から近いところを選んだ。
高層階にすると少し金額は上がるけれど、シングル一室くらいなら連泊しても予算内だ。
最上階にはバーもあるので、お酒を飲むのにも困らないだろう。
ベッドから降りて荷物を広げる。
連泊するのは確定なので、必要な化粧品や入浴用品だけを取り出す。
服は皺にならない物ばかりなので、そのままにしておいた。
窓の外には、すっかりとオレンジに染まった海が見えた。
海側の角部屋。
シングルにしては素敵な眺めに、ここを選んでよかったと思う。
到着する少し前に、篠木から着信があった。
今度は留守番電話も入っていたので、まずは報告だけ聞いておいた。
『お疲れ様です。明日朝イチで函館に向かうことになりました。着いてからでもいいので、連絡ください。よろしくお願いします』
とりあえず携帯を手に取り、篠木に電話をかけることにした。
頭を少しだけ仕事に切り替える。