だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版
洒涙雨
秋空...アキゾラ
秋の色が濃くなってきた。
オータムフェアが始まり、営業の面々は慌しく社外に出る機会が増えている。
そんな中、私は少しだけ遅い夏休みを貰っていた。
社内業務はこの時期から十一月くらいまでは少し落ち着いていく。
松山や篠木には先に休みをあげることが出来たけれど、森川や櫻井さんはまだ仕事が山積みのようだ。
私達が休みを取り終わらないと、水鳥さんも部長も休みを取ることはない。
それもあって私は一週間の休みを貰っていた。
正確には九日間。
土曜から次の週の日曜日までお休みだ。
九月十八日から九月二十六日まで。
土日と月曜日の祝日は部屋の掃除や睡眠のために費やした。
先延ばしにしている櫻井さんとの事も、少しは考えていた。
けれど、どんな考えも今の私には意味のないことのように想えた。
考え事をするのは旅行先に限る。
私はそう思っている。
その持論の結果、今日からは旅行に行くことにしている。
この時期に長期の休暇をもらえることは、嬉しい反面とても切ない。
秋はやはり、どこか寂しさを連れてくる。