だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版
お部屋でご飯を食べた後、二人で近くのコンビニに買い物に行った。
必要なものを買い込んで、部屋の冷蔵庫に入れる。
湊用のお酒と、私の飲み物。
お酒でもいいよ、と言ってくれたけれど、まだ上手に飲めそうにないのでやめておいた。
湊が私のためにこっそりお酒を追加したことには、気にしないことにした。
冷蔵後に全てを収めると、湊はすぐに立ち上がった。
「さて」
その声に反応してしまう自分が悔しい。
そっと私の隣に座って、湊はにやりと笑っていた。
たまにする意地の悪い顔に、私は益々悔しくなってしまった。
「一緒に、入ってくれるよね?」
断ることは許さない、と声の響きが言っている。
にやにやと笑いながら、私の顔を覗き込む。
恥ずかしさなのか、なんともいえない感情のせいで私は真っ赤になってしまった。
俯いたまま顔を上げられない私を、楽しそうに湊が抱き締める。
「時雨」
名前を呼ばれるだけで、緊張が増す。
『顔を上げて』と言われても、どうしていいかわからなくなってしまった。