だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版
縁...ヨスガ
――――――――――――――……
―――――――――――――……
「どうぞ」
差し出されたのは、華奢なグラスに入ったビールだった。
いつもはジョッキで飲んでいるので、とても不思議な感じがする。
なんだかおしとやかになった気分だが、飲み方はさほど変わらないみたいだ。
水鳥さんに一通りのことをお願いして、明日の準備は問題なく済んだ。
まだ仕事が終わっていないだろうから、水鳥さんから電話が来るのはもう少し後になるはずだ。
夜ご飯はいいものが思い浮かばなかったので、最上階のバーで軽く飲むことにした。
二十時を過ぎた店内は、窓の外の景色がキラキラと眩しかった。
お店の中央にガラスの壁があり、その中で水が循環している。
ガラスに当たる水は、壁をつたって流れていく。
その水の流れを時折目にしながら、一人でゆっくりとした時間を過ごしていた。
最近は特に天気がいい。
雲一つない、という表現がぴったりの日が続いている。
窓から見える景色も、空気が透き通っているようだった。
山から見る景色とも違う風景。
少しずつ、明るさを増していく景色。
少し星も見えてきた。
流れる水に、光が反射している。