だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版





そう言って笑う顔はとても幼く、私よりも年下かと思うくらい可愛い顔をしていた。

童顔で柔らかい表情。

警戒心が吹き飛びそうになってしまう。

スーツの着こなしや身に付けている時計から、私よりも年齢が上であることは、すぐにわかる。




艶のあるパリッとしたスーツ。

薄く光るシャツ。

嫌味なく光るタイピンはブルガリの刻印が本当に小さく刻まれていた。


左腕に光る時計は、同じようにブルガリの刻印があった。

黒の文字盤。

銀色のボディ。

何より、さらりとした身のこなし。



それら全てが、大人の男性なのだと教えてくれた。




「よかったらご一緒しませんか?」


「え?」


「一人で飲むのもいいけど、二人の方が楽しくなりそうだ。」


「あ、あの・・・」




わくわくした顔を全面に浮かべて、私に告げる。

有無を言わせぬ笑顔に対抗するすべもなく、私は隣に腰を下ろすことになった。

手を上げてウエイターを呼ぶと、彼は私の荷物を持ってこさせた。




慣れた様子だな、と彼の顔を横目に思う。

一人で飲んでいても様になる。

むしろ、隣にいるのがジーンズを身に纏った私でいいのか、とそんなことばかり考えていた。




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