だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版
「ま、いいですけどね。どうせ仕事バカですから」
そう言うと、二人は今度こそ耐え切れない、とばかりに笑った。
その声を聞いて、まぁいいか、と思って私も笑った。
「お待たせしました」
ちょうど良く頼んだランチが目の前に運ばれてきた。
美味しそうに湯気を上げる料理を見て、なんだか嬉しい気持ちになった。
「とりあえず食べるとするか。ゆっくりしてから、広瀬と合流しようぜ」
「そうですね。俺、だいぶ腹減りましたよ」
「私も。じゃあ、いただきます!」
手を合わせて目の前のご飯を頂いた。
嬉しそうにご飯を食べる私を見て、二人も食事に手をつけた。
時折、午後からの予定を確認してはいたれど、美味しいご飯に夢中になっていた。
『水鳥さんは、何でこんなに沢山お店を知っているのか』とか。
『やっぱり年の功じゃね?』とか。
『それを水鳥さんに言ったら、櫻井さんどうなるかわからないですよ?』とか。
『告げ口したいっすね』とか。
他愛もない話をしながら、ゆっくりとご飯を食べた。
食後にゆっくり飲み物を飲む。
時間には余裕があるけれど、きっとこれを飲んだら出発するだろう。
櫻井さんも篠木も、時間に余裕を持って動くはずだ。
眩しい海を見ながら、少しずつ頭の中を切り替えていた。