だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版
友人...ユウジン
約束の時間の十五分前には、ホテルのロビーに着いていた。
エントランスのソファーに腰掛けて、三人で廣瀬さんを待っていた。
「廣瀬さんって、どんな人ですか?」
そういえば、あんまり話を聞いていなかったな、と思って問いかける。
櫻井さんは少し考えてから呟いた。
「・・・女ったらし」
「えぇ?」
「いや、事実そうだったから」
そういう事を聞きたいわけではない、とわかっているはずなのに。
疑問符ばかりがぐるぐるしている私に向かって、篠木は苦笑いで補足してくれた。
「すごく優しそうな感じの方でしたよ。でも、人を見る目、というか、感情を見抜くのが上手な方でした」
「篠木がそう感じたの?」
「はい。相手の考えていることによく気が付く、と言った感じで。頭の回転のいい方ですよ」
篠木の説明に、なるほど、と思う。
メーカーの広報は相手を警戒させない話術と立ち振る舞いが必要。
それはどこの営業にも言えることだ。
それを上手くやってのける人は、櫻井さんのように頭の回転がよく、キレる人、ということだ。
櫻井さんの友人なら、頭の回転が速いのも納得できる。
「女をたらしこむのが得意なのも本当だぞ。何せ、アイツは気障だからな」