だから私は雨の日が好き。【秋の章】※加筆修正版
いつも丸裸で、突っ走っていく松山。
無謀に見えても、それが一番成長できることを、なんとなくわかっているのかもしれない。
対照的に篠木はとても冷静。
それは、いつもどこか冷めて見えるかもしれない。
頭の回転のいい篠木に、自分が丸裸にされる感覚を知って欲しい。
櫻井さんも森川も、きっとそれを望んでいたんだろう。
「時雨さんみたいになりたいな、と思いましたよ」
「私?」
「はい。時雨さんみたいに」
その言葉に、変な声を上げてしまって。
だって、想像もしないことを篠木に言われてしまったのだから。
ぽかんとした顔で篠木を見ると、とても穏やかな笑顔が目に入る。
うかつにも、ときめいてしまいそうになった。
その心臓を、必死に抑えていた。
「時雨さんはいつも真っ直ぐですよね。どこか抜けてるようで、でも、どこか冷静で」
「何よ、それ・・・」
褒められてるんだか、けなされてるんだか。
最初はもっと的確に話をする子だった気がする。
口が上手くないところまで森川に似ないで欲しいな、と苦笑いをしてしまった。
「真っ直ぐだから、人を惹きつける。それと、誰も敵わない『武器』もある」
「武器・・・?」
篠木はこくりと頷く。
不意に、篠木は真剣な顔になった。
そして真っ直ぐ私を見つめた。