ウサギな彼氏
『って、ユキ!あんたも遅刻するよ!』
ユキは、あたしと同じ高校に通っている。
だからあたしがやばいならユキもやばいはず。
なのに当の本人は、相変わらずマイペースに朝ごはんを食べ続けていた。
「俺、チャリだから。てか、そんなことも知らなかったの?」
えぇ、知りませんでした。
だって今までは朝部活だとかであたしが起きる前に家を出ていたんだもん。
あたしとユキは家から比較的近い学校に通っているので自転車でも通うことができる。
あたしは高校生になったら憧れのバス通学にしたいと思っていたから自転車なんて考えてもいなかったけど。
おっと、いけない!
またあたしってば考え込んでボーッとしてしまった。
時計を見るとバスの時間はギリギリ。
『やばい!行ってきまーす!』
トントンと靴を履き、玄関のドアを開ける。
月曜日から遅刻するわけにはいかない。
こんな時に役立つ元陸上部の底力を見せてあげようじゃないか。
ガチャッ
「あ、」