時は誰も待ってくれない 下
気持ち
呼吸が苦しくて立ち止まりそうになっても
足がもつれて転びそうになっても私は中谷がいる病院へと走った。
走るなんて久しぶりで正直立ち止まりたかったけど気持ちが体を動かしている。
こんなにも中谷の元へと引き寄せられる。

『高橋』

頭の中で響く声に無我夢中で走っていた足を止める。
この声は夢で聞いた声…?

『高橋』

辺りを見回しても私に声をかけている人は誰もいない。
「中谷…」
間違いない。この声は中谷の声だ。
少しだけ昔と違う声だけど再会した時に聞いた声と一緒だ。
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