時は誰も待ってくれない 下
すぐに鈴木先生がきて看護婦たちに指示を出す。
「真由…!」
優が泣きそうな顔で私を見つめる。
まるで永遠のお別れのように悲しそうな顔で。
「優…赤ちゃん、元気な赤ちゃん産むから…」
そう言うと優は私の手を握って精一杯の笑顔を見せてくれた。
私は今まで優にたくさん支えてもらった。
今は私が全力で頑張るとき。
「行ってきます」
そのまま私は分娩室に運ばれる。
やっとこの日が来たんだ。
赤ちゃんに会えるんだ。
なんとも言えない感情のせいか激痛のせいか
涙は止まらない。
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