時は誰も待ってくれない 下

廊下のソファに座ってただ二人の無事を願う。
一分が何時間にも感じて不安が募る。
しっかりしろ、今一番苦しいのは真由なんだ。
俺の名前を忘れることはよくあった。
でも、中谷隼人という人のことを忘れたことはなかった。
毎日毎日、空を見つめて隼人と呟いていた。
そのたび悔しいのか悲しいのか分からない感情が込み上げてきたけど、いつも俺に微笑みかけてくれる真由を見ると嬉しかった。
真由が戻ってきたわけじゃないけど後悔はしてない。
俺が真由を手放したことは後悔はしてないし真由も中谷隼人と同じ時を過ごせて幸せだと、後悔はしてないと言っていた。
今は、また俺が真由を支えるんだ。
毎日がくだらなかった俺に幸せを教えてくれた真由に俺ができることは支えること。
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