時は誰も待ってくれない 下
けど、その瞬間…看護婦さんたちの焦りに近いような声が聞こえた。
それと同時にいつか鈴木先生に言われた言葉を思い出す。
『出産は…どちらかが命を落とす可能性が高い…』
気づいた時には看護婦さんたちを押しのけて疲れきっている真由の元へ走っていた。
頼む…死なないでくれ…!!
真由が死んだら…俺はどうやって生きてけばいいんだよ…
真由がもしかしたら死ぬかもしれないなんて分かっていた。
なのにそれが信じられなくて深く考えなかったんだ…。
なんて自分は情けないんだろう。
今にも眠りそうな真由が意外な言葉を口にした。
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