時は誰も待ってくれない 下
「優…花言葉…」
こんなときに何を言ってるんだと思った。
泣いているのに微笑みながら俺を見つめる瞳はとても綺麗だとこんな時に思ってしまう。
「フランネルフラワー…」
フランネルフラワーって…まさかあの日言ったあの花…?
記憶失ってしまう真由がどうしてあの日のことを…。
あの日、花言葉は知っていたんだ。
けど答えることができなかった。
真由は中谷隼人を生涯で最も愛した人だろう。
それなのに俺がその花言葉を言ってしまうと
困らせてしまう。
俺はずっと真由のことが好きだから。
だから…言えなかったんだ。
でも…真由があの日のことを覚えていてくれたと思った瞬間、そんなことどうでも良くなる。
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