時は誰も待ってくれない 下
手を繋いでお店を見て回る。
「何か買うの?」
「そーだなぁ、あ」
ある店の前で足を止めた優の視線を辿ると
そこにはピアスがあって、メンズ専門のお店だ。
そういえば優もひとつだけピアスを開けているんだ。やっぱ優も男の人だしこーゆうお店で立ち止まったりするんだなぁ。
「真由、選んで」
「え?」
私の手に少しだけ力が込められて優が振り返る。
「真由が、一番俺に似合うって思うやつ」
「私が選んでいいの?」
「真由に選んで欲しい」
そう言って優しく微笑んだ優の言葉に首を振ることはできず、私は店内に足を踏み入れた。
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