時は誰も待ってくれない 下
「本当に大丈夫か?家、帰るか?」
やだ。まだ帰りたくない。もっと優と一緒に居たい。
首を振る私に優は少しだけ考えるような仕草をすると疑問気味に言う。
「あんまり動かない場所ならいいか?」
家だとは言わないことに私は元気良く返事して
手を繋いで車に乗り、目的地に向かう。

いや目的地がどこなのかは知らないけど…。
あれ?もしかして私、今日一日の計画を台無しにしちゃった?
優さっき考えてたもんね…。
わー…申し訳無さすぎる。
車の中で流れる心地よい洋楽に優の指も同じテンポでリズムをとっている。
そんな優をチラッと横目で見ると一瞬だけ目が合った。
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