時は誰も待ってくれない 下
そんなはずがない。
だって…あれから私は本当に優のことが好きで
好きで…中谷を過去にしたんだよ。
そう決めたのに。
「空を見るのは、真由の癖?」
「…」
私の癖を優は知っていた。
私が知る優の癖は照れた時に困った笑顔になること。
優が知ってる私の癖は…ずっと好きだった中谷の癖…。
「違う…ッ優が好きなの…」
「真由、好きだよ」
「私も…」
好きだと言おうとした瞬間、海を見つめていた優がこっちを向いた。
私はその顔を見て何も言えなくなった。
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