時は誰も待ってくれない 下
「もう一度言うよ。真由が想う人は誰?」
私が心から想う人。
何年の月日が経っても忘れられない人。
初恋の人。
私の頭の中に浮かんだ顔。
「ー…中谷…」

そう呟いたと同時に優は優しく笑って私の背中を押した。
「優…」
「振り返らないで」
「…」
「真由の中には中谷さんが、俺の中には真由がいる。真由が辛くて苦しい時は俺が笑顔にさせる」
「優…ごめ…」
「謝らないでよ、その代わり笑って」
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