時は誰も待ってくれない 下
願い
海から一番近い海岸沿いの駅で電車に乗り、
病院へと行く。
会いたくないと言われて一ヶ月くらい、私は自分の気持ちを過去にしていた。
また山下くんの言葉が脳裏でこだまする。
『余命三ヶ月』
もしかしたら。もしかしたら。
あれから良くならず、さらに進行してるかもしれない。
もしかしたら中谷は…
悪い考えはやめようと窓の外へと視線を向けた。
でも周りの景色なんて見えないほど頭の中は中谷で気持ちだけが焦っていた。
「あの…」
「…」
「あの!」
「あ…」