時は誰も待ってくれない 下
電車を降りた私は途中からタクシーで行くことにした。
前を向くと運転手さんがこちらを振り返っていて首をかしげている。
「お客さん、大丈夫ですか?」
「え?」
「顔色悪いですよ」
「あ…、大丈夫です」
病院に着いて、お金を払い真っ先に受付へと向かう。
ここで、まず中谷の存在を知ることになる。
心臓は暴れていて落ち着かない。
「中谷…隼人は、…いますか?」
「えぇ、いますよ」
ニコリと笑う女の人の言葉を聞いた瞬間、力が抜けたように床へと座ってしまった。