時は誰も待ってくれない 下
「…ッ」
「どうした?」
「あ、ちょっとお腹痛くて」
「大丈夫かよ?」
「うん、すぐ治ると思う」
「無理すんなよ」
車椅子に座った中谷が私を見上げて心配そうに声をかけてくれる。私よりも中谷の方が苦しくて辛い筈なのに。
「中谷はさ…」
「隼人な」
「え?」
「中谷隼人」
「あ…」
隼人って呼んだらいいってことかな?
私も真由って呼んでほしいな…。
そんなこと思ったこともなかったから改めて中谷への好きの大きさを知った。
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