時は誰も待ってくれない 下
「隼人…」
「ん?」
「ふふ、なんでもない!」
「意味わかんねぇ」
私から晴れ渡った青空へと視線を向けると静かに呟くように隼人が言った。

「真由、好きだ…」

私の聞き間違いなのかと思った。
私の見間違いかと思った。
あの隼人が私の名前を呼び、好きだと言った。
あんなにも悲しそうに見つめていた空を愛しそうに見つめていた。
それだけのことなのに私には大事件なくらいの出来事で何も言えなかった。
嬉しくて、嬉しくてまた泣いてしまう。
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